建設現場の"神経"を創る。電気工事士の役割と、チームを動かすコミュニケーションの力

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はじめに


一つの建物が完成するまでには、設計者、基礎や構造を担当する職人、内装を仕上げる職人など、多くの専門業者が関わっています。その中で、私たち電気工事士は、建物全体に電気を供給するための配線や各種設備を設置するという、建物の機能に不可欠な役割を担っています。


スイッチを押せば明かりが灯り、コンセントに繋げば機器が動く。この「当たり前」の状態を確実に実現するためには、単純な作業だけでは不十分です。建設現場で同時進行する様々な工事の状況を理解し、他の専門業者と緻密な打ち合わせを重ねながら、計画的に作業を進める能力が求められます。


この記事では、電気工事士という仕事が、単独の作業にとどまらず、建設現場全体の工程を理解し、多くの人々と協力して建物の価値を創造する仕事であることをお伝えします。そして、私たち小峰電気が創業以来大切にしている「顧客第一主義」「確かな技術力」そして「チームワーク」が、現場でどのように実践されているのかをご紹介します。


第1章:電気工事士は、単なる「配線屋」ではない

電気工事士の仕事と聞くと、配線やコンセントの取り付け作業を思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろんそれも大切な業務ですが、仕事の本質はより広く、建物の設計意図を理解し、完成後の使われ方まで見据えた、総合的な思考力が求められます。


建物の機能を支える設備を計画する思考力

私たちの仕事は、設計図面の内容を正確に読み解くことから始まります。それは単に図面の指示通りに作業することではありません。「この部屋は役員室だから、落ち着いた雰囲気の照明が求められる」「ここはサーバールームだから、大容量の電源と専用の空調、防災設備との連動が必要になる」といったように、建物の用途や利用者の行動を予測し、電気設備の最適な仕様や配置を検討していきます。


電気設備は、照明やコンセントといった動力系の「強電」設備から、インターネットや電話、防災センサーといった通信・情報系の「弱電」設備まで多岐にわたります。これらを、建物の壁・天井の裏側や床下といった限られたスペースに、機能的に収める必要があります。小峰電気が電気設備だけでなく、空調設備や防災設備の設計・施工も一貫して手掛けるのは、これらの設備が互いに密接に関係しており、建物全体の快適性や安全性を総合的に考える必要があるからです。この「確かな技術力」に裏打ちされた多角的な視点が、私たちの強みです。


完成後に見えなくなる部分を施工する責任感

建設工事が進む中で、電気工事士は、壁や天井が貼られていない、構造がむき出しの段階で作業に入ることが多くあります。コンクリートを打設する前に電線を通すための配管を埋め込んだり、鉄骨の梁に配線を支えるための金物を取り付けたりと、建物の構造と一体化する設備を施工していきます。

これらの設備は、建物が完成すればほとんどが見えなくなってしまいます。しかし、この「隠蔽部(いんぺいぶ)」の施工品質が、建物の耐久性や安全性を長期にわたって支えることになります。一度コンクリートに埋設した配管を後から修正することは極めて困難です。だからこそ、私たちは一本一本の配管、一か所の結線に、細心の注意を払い、数十年先まで安心して使用できる品質を追求します。この見えない部分へのこだわりと責任感が、電気工事士の専門性です。


第2章:建設現場における、他業種との具体的な連携業務

建設現場では、常に複数の専門業者が、定められた工程に従って同時進行で作業を進めています。電気工事士は、その中で他の業者と密接に関わりながら、自らの業務を遂行します。ここでは、私たちが現場でどのように他業種の専門家たちと連携しているのかを具体的にご紹介します。


全体の工程管理:現場監督(ゼネコン)との連携

現場監督は、工事全体の進捗管理、安全管理、業者間の調整を行う責任者です。私たちは、毎日の朝礼でその日の作業内容や危険箇所を報告・確認し、定期的な工程会議で今後の作業計画について協議します。


ここで重要になるのが「報告・連絡・相談」の徹底です。「図面の指示通りだと、配管が構造の鉄骨に干渉する」「来週から天井ボードを貼る工程に入る前に、照明器具の先行配線を完了させたい」など、現場で発生した問題や作業の段取りに関する要望を、迅速かつ正確に現場監督へ伝えます。これにより、工事全体の遅延や手戻りを防ぎ、効率的な現場運営に貢献します。小峰電気では、現場代理人が中心となり、お客様であるゼネコンの担当者様と密な情報共有を行うことで、信頼関係を構築し、スムーズな工事進行を心がけています。


建物の構造に関わる:躯体工事業者との連携

建物の骨格を創る躯体工事は、工程上、後戻りができません。特に、コンクリートを流し込む「打設」の前には、関係各所が連携して必要な準備を完了させなければなりません。私たちは、鉄筋が組まれ、型枠が設置された後、コンクリートが打設される前の限られた時間で、照明器具や配線を収めるためのボックスや、電線を通すためのスリーブ(管)を、図面で指示された正確な位置に設置します。


この段階でのミスは、硬化したコンクリートを削る「斫り(はつり)」という、建物の強度にも影響しかねない大掛かりな手直しに繋がります。そのため、躯体工事のスケジュールを正確に把握し、他の業者の作業を妨げないよう段取りを組み、確実に施工する計画性が求められます。


限られた空間の調整:設備工事業者との連携

天井裏や壁の中は、電気の配線だけでなく、空調のダクトや、給排水の配管といった、様々な設備が設置される空間です。これらの設備は、それぞれが必要な大きさやルートを持っているため、限られたスペースをいかに効率よく利用するかが、業者間の重要な調整事項となります。


私たちは、空調や衛生(水道)の担当者と事前に図面上で打ち合わせを行い、「この大きなダクトを先に設置するので、電気の幹線ケーブルは別のルートを確保する」「排水管の勾配を優先するため、この部分の照明器具は薄型のモデルを検討する」といった具体的な調整を日々行っています。小峰電気は空調設備工事も手掛けているため、空調側の技術的な制約も深く理解しています。この相互理解が、業者間の無用なトラブルを避け、合理的な施工計画を立てる上で役立っています。


最終的な仕上げに関わる:内装工事業者との連携

工事の最終段階では、壁紙や塗装、床材といった内装仕上げの工程に入ります。電気工事の最終的な作業は、この内装仕上げと密接に関わってきます。


例えば、壁に取り付けるスイッチやコンセントのプレートが、数ミリずれたり傾いたりするだけで、空間全体の仕上がりの質を損ないます。私たちは、内装業者が壁のボードを貼る前に、ボックスの位置を正確に決定し、ボードが貼られた後には、仕上げ材を傷つけないよう細心の注意を払って器具を取り付けます。他の専門業者の仕事の品質を尊重し、協力して建物を完成させるという意識が、最終的な美観に繋がります。


第3章:「コミュニケーション」が業務に不可欠である理由

ここまで見てきたように、電気工事士の仕事は、多くの専門業者との連携の上に成り立っています。そして、その連携を円滑にし、仕事の質を高めるために最も重要なのが「コミュニケーション」です。


事故を防ぎ、安全な現場を維持する

建設現場では、常に危険が伴います。高所での作業や重機との接触に加え、私たちが扱う「電気」は、感電という重大な事故に繋がる可能性があります。現場の安全は、「だろう」という思い込みをなくすことから始まります。「この電源はまだ通電していないだろう」「この壁の向こうに人はいないだろう」といった自己判断が、事故の原因となります。


そのため、私たちは作業前に「今からこの系統の電源を一時的に遮断します」「これからこのエリアで火花が出る作業を行います」といった具体的な声がけを徹底します。小峰電気が掲げる「安全への取り組み」は、保護具の着用といった基本的なルール遵守はもちろんのこと、こうした日々の活発な情報共有によって、現場にいる全員で危険を予知し、回避する職場環境を構築することで実現されています。


品質を高め、顧客の満足に繋げる

良い建物は、良好なチームワークから生まれます。現場で問題が発生した際、一人で抱え込まず、関係者がすぐに集まり、解決策を協議する。そのような風通しの良い職場環境が、結果として施工品質の向上に繋がります。


「図面にはこう指示があるが、実際の使い勝手を考えると、コンセントの位置はこちらの方が合理的ではないか?」

「この照明器具について、より効率的な新製品があるため、設計担当者への提案を検討したい」

こうした前向きな意見交換は、現場の職人同士の日常的な会話から生まれることが少なくありません。小峰電気が大切にする「チームワーク」は、社内だけを指すのではありません。現場監督、他業種の職人、そしてお客様を含め、現場に関わるすべての人々と協力し、同じ目標に向かって業務を遂行すること。その中で、技術者として責任ある対話を通じて貢献していく。それが私たちの考える働き方です。


終わりに

電気工事士の仕事は、決して一人で完結するものではありません。図面を描く人、建物を建てる人、そして、完成後にその建物を利用する人々。多くの専門家の技術が結集する建設現場において、他業種と対話し、計画を調整し、信頼関係を築きながら、建物に不可欠な電気設備を完成させていく。それは、大きな責任と共に、大きな達成感を得られる仕事です。

もしあなたが、単独で作業をこなすだけでなく、自ら考え、周囲と協力し、チームの一員として大きなプロジェクトを成し遂げる仕事に関心があるなら、電気工事士は、あなたのその能力を発揮できる職業かもしれません。

小峰電気は、そのような「技術」と「協調性」を大切にする仲間を求めています。私たちと共に、社会を支える建物を創っていきませんか。