「工場の水銀灯が切れたが製造終了で手に入らない」「LEDに交換したいけれど、工事方法や費用がよくわからない」など、疑問や不安を抱えている人もいるでしょう。
実は、水銀灯からLEDへの交換は、古い安定器の適切な処置を行わないと火災のリスクがあるため、正しい工事方法を選び、補助金を活用して安全かつお得に更新することが重要です。
この記事では、工場の照明のLED化を検討している方に向けて、水銀灯廃止の背景から、LED化のメリット、安全な交換方法、そして費用負担を減らす補助金制度までをわかりやすく解説します。
工場の安全を確保しつつ、照明のLED化で電気代を大幅に削減したい経営者様や設備担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。
■ 水銀灯の製造禁止と廃止

近年、工場の天井で長年使われてきた水銀灯が、少しずつ姿を消しています。その背景にあるのが、「水俣条約」という水銀による環境汚染を防ぐための国際ルールです。
この取り決めにより、日本でも2021年から一般照明用の高圧水銀ランプ(工場の高天井や体育館などでよく使われる、丸くて明るい電球)の製造や輸出入が原則として禁止されました。
つまり、現在工場に設置されている水銀灯のランプが寿命を迎えて切れてしまった場合、新しく同じ製品を購入して交換することが非常に難しくなっているのです。
これまで主流だった400Wなどの水銀灯は、広い倉庫や施設を照らすために欠かせない照明器具でした。しかし、生産が終了したことで市場の在庫も減少し、価格が上昇する傾向にあります。
そのため、多くの企業では水銀灯の代替(代わりとなるもの)として、LED照明へのリニューアルを急いでいます。
万が一、作業中に照明が切れて新しいランプが手に入らなければ、工場内が暗くなり、手元の細かい作業に支障が出たり、見えにくさから事故につながったりするリスクがあります。
工場の安全で安定した稼働を守るためにも、水銀灯の廃止という現状を正しく理解し、計画的にLEDへ切り替えていく対応が必要不可欠です。
■ LED化による工場のメリット

工場の水銀灯を最新のLED照明に切り替えることは、単にランプの製造終了に伴う対策にとどまりません。企業のコスト削減や作業環境の改善など、経営面においても非常に大きなメリット(利点)をもたらします。
・ 消費電力と電気代の削減
水銀灯からLED照明への交換で最も期待される効果が、大幅な省エネによる電気代の削減です。たとえば、工場や倉庫で一般的に使われている400Wクラスの水銀灯を、同じ明るさのLEDランプに代替した場合、消費電力を半分から3分の1程度まで抑えることができます。
長時間を稼働する施設では照明にかかる電力が膨大になるため、この消費電力の低下が年間の電気代を劇的に引き下げます。
さらに、LEDは発光する際に無駄な熱をほとんど出さないため、夏場の空調(エアコン)の効きが良くなり、工場全体の消費電力をさらに削減できるという相乗効果も生まれます。
・ 高天井照明の寿命が延長
LED照明のもう一つの大きな魅力は、圧倒的な長寿命です。従来の水銀灯の寿命が約1万2000時間であるのに対し、LEDランプは約4万から6万時間も点灯し続けます。
工場の高天井や体育館などに設置された照明は、電球を一つ交換するだけでも高所作業車を呼んだり足場を組んだりする必要があり、そのたびに電気工事の費用や作業の手間が発生します。長寿命なLEDに交換することで、こうしたメンテナンスの頻度とコストを大幅に削減できます。
また、水銀灯のようにスイッチを入れてから完全に明るくなるまで数分待つ必要がなく、瞬時に100%の照度(明るさ)で点灯するため、休憩時間などにこまめに消灯しやすくなり、作業の効率化にも貢献します。
■ LEDへの交換方法と安定器

工場の水銀灯をLED化する際、最も注意しなければならないのが「安定器(電気の流れを一定に保つための装置)」の扱いです。現在お使いの設備状況や予算に合わせて、主に3つの交換方法から最適なものを選ぶ必要があります。それぞれの特徴と安全性について解説します。
・ 安定器をそのまま使う
既存の照明器具と安定器を残したまま、水銀灯の電球だけを「工事不要タイプ」のLEDランプに交換する方法です。大掛かりな作業が不要で、手軽に導入できるメリットがあります。
しかし、長年使われてきた古い安定器をそのまま使い続けるため、LED自体は新しくても、内部の安定器が寿命を迎えてショートや発火を引き起こす危険性が残ります。工場の安全な環境を守る観点からは、あまり推奨されない方法です。
・ 安全なバイパス工事
照明器具の本体はそのまま残し、内部の古い安定器を通さずに直接LEDランプや新しい専用電源へ電気を送る「バイパス工事(安定器切り離し工事)」を行う方法です。
この作業には電気工事士の資格を持ったプロによる施工が必要となりますが、古い安定器による発火リスクを完全に排除できるため安全性が格段に高まります。
また、安定器自体が消費していた無駄な電力もカットできるため、さらなる電気代の削減(省エネ)につながる非常に効率的な交換方法です。
・ 照明器具ごとの交換
水銀灯の電球だけでなく、天井に設置されている照明器具を丸ごと新しいLED照明(電源が内蔵された一体型の製品など)に交換する方法です。
工場や倉庫の高天井にある器具が長年のほこりや湿気、サビなどで劣化している場合、ランプだけを新しくしても器具ごと落下する危険があります。
初期の工事費用は他の方法より高くなりますが、最新の防塵(ほこりを防ぐ機能)や防水仕様の製品を導入でき、長期的には最も安全で確実に使い続けられる選択肢です。
■ LED交換費用と補助金

工場の水銀灯をLEDに交換する際、経営者や設備担当者が最も気になるのが「初期費用」と「資金の調達方法」です。ここでは、具体的な価格の目安と、負担を減らすための制度について解説します。
・ LED化にかかる交換費用
水銀灯からLEDへの交換にかかる費用は、選ぶ製品のタイプや施工方法によって価格が大きく変動します。例えば、既存の照明器具を残してランプと電源を交換するバイパス工事の場合、1台あたり数万円程度が相場となります。
一方、粉塵(細かいほこり)や水分の多い環境に耐えられる防水仕様の新しい高天井用LED照明器具を丸ごと設置する場合は、製品価格に加えて高所作業車などの工事費が発生するため、初期費用(最初にまとまってかかるお金)は高くなります。
しかし、電気代の削減効果が非常に大きいため、約2〜3年の間に削減できた電気代で投資した費用を回収できるケースが一般的です。
・ 設備更新に使える補助金
まとまった規模の工場照明をリニューアルする場合、初期費用の負担を大きく減らすために活用したいのが「補助金」です。
現在、国や自治体では、環境への負荷を減らす省エネ設備(消費電力が少ない最新のLED照明など)の導入に対して、設置費用の一部を支給する支援制度を設けています。条件を満たせば、費用の数分の一から最大で半額程度が補助される可能性があります。
ただし、補助金は申請の期限が限られており、事前に現在の消費電力などの細かなデータ評価や専門的な書類の準備が必要になります。そのため、申請サポートから実際の作業まで実績がある電気工事会社へ早めに相談して計画を進めることが重要です。
■まとめ
水銀灯の製造・輸出入が原則禁止となった今、工場照明のLED化は安全かつ効率的な工場運営において先送りできない重要な課題です。LED照明への交換は、電気代の大幅な削減や、高所での面倒なランプ交換の手間を省くなど、多くのメリットをもたらします。
ただし、導入の際は古い安定器をそのまま使用することによる火災リスクを避けるため、バイパス工事や照明器具ごとの交換といった適切な電気工事を選ぶことが不可欠です。
初期費用の負担を軽減できる補助金制度も賢く活用しながら、計画的かつ安全に工場の照明設備をアップデートし、快適な作業環境を整えましょう。
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